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「モノカルチャーからポリカルチャーへ」マカダミア産業におけるSDGs オーストラリアマカダミア産業の革新的な「再生農業」にクローズアップ!

貧困の撲滅や飢餓の根絶、エネルギーの持続可能性など持続可能な開発目標を掲げ、2030年までに達成されることを目指すSDGs(Sustainable Development Goals)。オーストラリアのマカダミア農園はSDGsの一つである、「気候変動対策」にもつながる持続可能な農業に対し真摯に取り組み、努力を続けています。その中でも今回は、人間の利己を追求するのではなく、環境を第一に考えた「再生農法」にクローズアップ。この農法の根底にある考え方とは?マカダミア農家のレックス・ハリス氏に、詳しくお話を伺いました。

「モノカルチャーからポリカルチャーへ」

マカダミア産業におけるSDGs  オーストラリアマカダミア産業の

革新的な「再生農業」にクローズアップ!

貧困の撲滅や飢餓の根絶、エネルギーの持続可能性など持続可能な開発目標を掲げ、2030年までに達成されることを目指すSDGs(Sustainable Development Goals)。オーストラリアのマカダミア農園はSDGsの一つである、「気候変動対策」にもつながる持続可能な農業に対し真摯に取り組み、努力を続けています。その中でも今回は、人間の利己を追求するのではなく、環境を第一に考えた「再生農法」にクローズアップ。この農法の根底にある考え方とは?

マカダミア農家のレックス・ハリス氏に、詳しくお話を伺いました。

オーストラリアのマカダミア産業、持続可能な未来を創造するため

写真 Shutterstock

再生農業とは、環境に配慮しながら持続可能な農業を行う取り組みのことを。

土壌の健康を守り、生物多様性を回復させることで環境の負担を軽減することを目的に広まりつつあります。通常作物を栽培する際土を耕し、肥料や農薬を使用しながら育てますが、徐々に土が疲弊し、連作障害などから安定して健全な作物を育てることが困難になってきます。それらに対する具体的な手法として注目されているのが「再生農業」なのです。具体的な方法としてはカバークロップの採用、農薬や化学肥料の使用の最適化、不耕起栽培循などが挙げられます。

しかし残念なことに今でも収穫量を上げるために新たに森林を切り開き、あるいは森を燃やして農地にしたり、大量の化学薬品を使用し害虫を駆除したり、と地球保全に大きく反した方法が行われています。これでは生態系も土壌も育つことはなく、また土が痩せ細ると次の土地を切り開く…そんな悪循環につながってしまいます。

オーストラリアのマカダミア産業は将来の世代への責任を常に念頭に置き、持続可能な未来を創造するために尽力しています。この「再生農業」とは一体どのようなものなのか?詳しく見ていきましょう。

マカダミア・チェンジ・メイカーズ:レックスハリス

レックス・ハリス氏は二人の息子と共にマカダミア農園を営んでいます。そこで「再生農業」を実践するにお話を伺いました。冒頭にハリス氏はまず「農園をモノカルチャーからポリカルチャーへと転換することに専念した」と話します。

「1998年に牛の放牧地だった土地を手に入れました。ここでは1994年頃から1500本のマカダミアの樹が植っていました。2003年には1万6500本まで増やしました」と栽培をすることになった経緯を説明してくれました。「慣行農法にのっとって栽培をしていましたが、あまり軌道に乗らなかったのです」と当時を振り返りました。

よくよく農園を観察してみるとマカダミアの樹が成長し、葉が生い茂るにつれ日光が当たらなくなってきたことに気がついた、とハリス氏。「次第に制圧作物が育たなくなり、土壌を保護することができなくなり、どんどん土が痩せ細っていったと話します。

カバークロップ

そこでハリス氏は息子のダニエルと共に、カバークロップについて学ぶことに。再度日光を確保するため、思い切ってマカダミアの樹を2列ごとに間引きし、日光を確保することにしました。

その際、マカダミアの樹と樹の合間の畝間に土壌浸食の防止や土壌への有機物の供給に効果的だというカバークロップ(被覆作物:雑草の生育を妨げる作用を持つ作物。例:大麦、クローバー、ひまわりなど))を植え、土壌を肥沃にする施策を実施しました。

モノカルチャーからポリカルチャーへ

このように自然の生態系の多様性を模倣し、複数の種が同時に同じ場所で栽培される農業の一形態のことを「ポリカルチャー」と呼びます。

「ひまわりは、夏のカバークロップとしてよく使いますよ。今ではその間引きした畝すべてが花壇となっていて、さまざまな虫や蝶が生息し、やってくる鳥の数も増えました。本当にいきいきとして生命力にあふれた農園に様変わりしました」とハリス氏。

「すべての作物は健康な土壌から育つんです」とハリス氏。「ポリカルチャーへと転換したことで、農園に有益な昆虫や蝶が多くやってくるようになりました。すべては太陽の光のおかげ。間引きしたことで日光が入り、カバークロップが育ち、土壌に微生物が増え、炭素を蓄えられるように。素晴らしい効果です」

再生の原則と実践

カバークロップとして植えたヒマワリは切り花として収穫しない、これは再生農業の基本だとか。ヒマワリは根っこを張ったままローラーで平らにならすことで土壌に栄養素を還元し、微生物の活性化を促し多様性を向上させる効果があるのです。

「ヒマワリを敷き詰めると本当に栄養たっぷりのふかふかのベッドになるんです」とハリス氏。そこに次のシーズンのカバークロップを直接植え足すことで、土壌の有機物が増え、マカダミアの木の保水力が増すだけでなく、より生物多様性の高い”生きた土壌 “を作ることができるのだとか。

「初めて多種類のカバークロップを植え替えたとき、私たちは大きな教訓を得ました」と模索していた当時を振り返ります。「一度に全て植え替えたことがあって。その作業の途中で昆虫の大群に気づき、昆虫の生息域をすべて奪ってしまったこと気づいたんです」。

それ以来、ハリス氏の農園の敷地内には通年花を咲かせるガーデンを作り、常にむしや鳥たちがやってこられるような工夫を施しているそう。もちろん、カバークロップの植え替えの際には有益な昆虫の生息地を一気に奪ってしまわないよう植え付けを段階的に行い対策しているとのこと。

「再生農業はマカダミア産業の未来を支える農法だと信じています。すべては自然から享受している、我々はそのことに感謝しないといけません」

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