誰もが一度は食べたことがあるマカダミアナッツ、実はとても栄養価の高い食べ物です。マカダミアナッツには、「どんな栄養素が含まれているのか」「その栄養素にはどんな効果があるのか」まとめてみました。
マカダミアナッツに含まれる
驚くべき栄養成分とその健康効果!
マカダミアナッツチョコレートなどの形で、誰もが一度は食べたことのあるマカダミアナッツ、実はとても栄養価の高い食べ物だということを知っていますか?
マカダミアナッツには、ビタミンやミネラル、さらには「体に良い油」と言われる不飽和脂肪酸などの栄養成分が豊富に含まれています。
マカダミアナッツに含まれる栄養成分には、さまざまな健康的な効能があります。たとえば、毎日マカダミアナッツを食べることで、マカダミアナッツに含まれるパルミトレイン酸や食物繊維が、冷え性や便秘に改善の効果が期待できるということは、あまり知られていないようです。
マカダミアナッツには、「どんな栄養成分が含まれていて」、「その栄養成分にはどんな効果があるのか」、そして実際に取り入れる方法についてもまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
改めて、マカダミアナッツとは?
マカダミアナッツと言えば、ハワイのお土産として定番ですが、実はマカダミアナッツはオーストラリア原産の植物です。
その歴史は古く、オーストラリアの原住民だったアボリジニがごちそうとして食べていた実がマカダミアナッツとして今日まで愛され続けています。
一般的に市販されているマカダミアナッツには、殻付きのものは少ないですが、収穫されたときのマカダミアナッツは、世界で一番硬い殻に覆われているため、殻割り器を使用しないと割ることは難しいです。
マカダミアナッツはどんなものに使われているの?
マカダミアナッツは、
- マカダミアナッツチョコ
- 塩味や素焼きのナッツ
- アイスクリーム
- パンケーキ
などさまざまな食品に使われています。その他にも、牛乳の代わりに飲むことができるマカダミアミルクなどの食品もあるのですが、知っていましたか? ちなみに、体に良い油である不飽和脂肪酸を多く含むマカダミアナッツオイルは、マッサージオイルとして人気です。
マカダミアナッツに含まれる驚くべき栄養素の数々
白くて丸く、口に放り込むと、クリーミーな舌触りが何ともたまらない……そんなマカダミアナッツですが、人間の体に良い栄養素を豊富に含む食べ物なのです。では一体どのような栄養素を含んでいるのか、確認してみましょう。
オレイン酸
マカダミアナッツの他にも、オリーブオイルやアボカドにも多く含まれるオレイン酸。オレイン酸は一価不飽和脂肪酸の1種なのですが、後述するパルミトレイン酸も含め不飽和脂肪酸は、血行を促進し血液をサラサラにする、健康に良い油として有名です。
パルミトレイン酸
パルミトレイン酸は、動脈硬化や高血圧などを予防すると言われています。またパルミトレイン酸は酸化しにくいため、ある程度の保存もききます。そのため、これを豊富に含むマカダミアナッツオイルは、美容マッサージなどで使うキャリアオイルとしても人気です。その理由は、マカダミアナッツオイルの肌への浸透性の高さ。その肌への浸透力は、「消えてなくなる」と言われるほどで、バニシングオイルとも呼ばれ世界中で使われているようです。
三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)
あまり知られていないかもしれませんが、マカダミアナッツは三大栄養素である脂質の他に実はタンパク質、糖質も含まれている食べ物でもあります。タンパク質は、筋肉や皮膚、爪や髪の毛など、からだを形づくるために必要となる栄養素です。また脂質や糖質は、脳や体を動かすエネルギーとしての役割があり、いずれも生きていく上では欠かせない成分です。
ビタミンB群(B1・B2・B6)
マカダミアナッツには、健康な体を維持するために欠かせない栄養素であるビタミンB群(B1、B2、B6)も含まれています。ビタミンB1は、糖質などを体内でエネルギーに変換するのを助ける役割を果たし、疲労回復の効果が期待できます。さらにビタミンB2とB6は、一緒に摂ることでニキビやアトピー性皮膚炎に効果的とも言われています。美容に気を使う女性には、特に嬉しい栄養素と言えそうです。
ビタミンE
マカダミアナッツに含まれるビタミンEは、抗酸化物質として活性酸素から体を守ってくれる大事な働きをしてくれます。他にも免疫力を高める機能や、血管内で血液が固まるのを防ぐ効果も期待できます。つまりビタミンEは、老化や生活習慣病予防に効果的な栄養素と言えるのです。
カリウム
マカダミアナッツには、ミネラルも含まれています。カリウムは、塩などに多く含まれるナトリウムを排出する機能があるミネラルです。カリウムはその機能によって、体内のナトリウムの濃度を調節し、高血圧や腎臓疾患などの予防に効果を発揮します。しかし逆に、カリウムが体内で不足してしまうと、ナトリウムの濃度の調節ができなくなるため、高血圧や脳梗塞の危険性が高まるとも言えます。カリウムは主に尿として体外に排出されるため、利尿作用のあるアルコールやコーヒーなどを頻繁に摂取する習慣がある人はカリウムが不足しがち。自覚がある人は、意識的にカリウムを摂るようにしてみるといいでしょう。たとえば、アルコールやコーヒーのおともをマカダミアナッツに変えるとちょうどいいかもしれません。
マグネシウム
カルシウムと並んで骨の形成には欠かせないミネラルであるマグネシウム。他にも体内のエネルギー代謝を助ける機能や血液の循環を促す作用を持ち合わせています。しかし、マグネシウムは多くの日本人が不足している状況にあります。その要因としては加工食品や外食が多い、アルコールの摂取量が多いといった現代の食生活が影響しています。また、睡眠不足やストレスが過度にかかることによっても、体内のマグネシウムを大量に消費し不足を招いてしまいます。マグネシウムが不足すると、頭痛や便秘の他に、骨粗しょう症などの生活習慣病、うつ病などの精神症状、さらには動脈硬化や心筋梗塞の危険性が高まることもあるので注意が必要です。マカダミアナッツ15個(およそ30g)からは、一日に必要なマグネシウムの約12%(39mg)を摂取することができます。
鉄
体内の鉄不足は、貧血の原因として有名です。意外かもしれませんが、マカダミアナッツには鉄も含まれているので、積極的に食べることで、女性に起こりがちな貧血の予防にも繋がるでしょう。また、鉄には動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」があります。マカダミアナッツに含まれる非ヘム鉄は、ヘム鉄に比べると体内への吸収率が低いのですが、ビタミンCと合わせて摂取することで体内への吸収率が高めることができるのでおすすめです。女性でなくても不足しがちな栄養成分である鉄、バランスの良い食事で効率よく摂取しましょう。
食物繊維
食物繊維といえば、腸に良いということで昔からよく知られています。その理由としては、整腸作用による健康効果が挙げられ、最近ではからだに必要不可欠な栄養素として、従来からある五大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル)に加えて、第六の栄養素として位置付けられるようにもなりました。他にも食物繊維には、血糖値が上がるのを抑える働きや、血液中のコレステロール値を下げる効果もあります。食物繊維には不溶性と水溶性の二種類があり、マカダミアナッツには、腸を刺激してお通じを促す作用のある不溶性食物繊維が含まれています。
マカダミアナッツに含まれるビタミン・ミネラルと一日の摂取量の目安
マカダミア(生)の栄養素成分 | 30gあたり | 100gあたり | 1日あたりの摂取量の目安 | 食事あたりの摂取量目安の割合 |
---|---|---|---|---|
ナトリウム(mg) | 0.5 | 1.4 | 1600mg (SDT) | 0% |
カリウム (mg) | 135 | 410 | 4700mg (SDT) | 3% |
マグネシウム (mg) | 39 | 130 | 320mg (RDI) | 12% |
カルシウム (mg) | 25.5f | 85 | 800mg (RDI) | 5% |
鉄分 (mg) | 1.1 | 3.7 | 12mg (RDI) | 9% |
亜鉛 (mg) | 0.4 | 1.3 | 12mg (RDI) | 3% |
ビタミンB1 (mg) | 0.4 | 1.2 | 1.1mg (RDI) | 33% |
ビタミンB2 (mg) | 0.05 | 0.16 | 1.7mg (RDI) | 3% |
ナイアシン (mg) | 0.8 | 2.5 | 10mg (RDI) | 8% |
葉酸 (μg) | 3.3 | 11 | 200μg (RDI) | 2% |
パントテン酸 (mg) | 0.2 | 0.76 | 5mg (RDI) | 4% |
ビタミンB6 (mg) | 0.08 | 0.28 | 1.6mg (RDI) | 5% |
ビタミンE (mg) | 0.15 | 0.5 | 10mg (RDI) | 1.50% |
銅 (md) | 0.23 | 0.76 | 3mg (RDI) | 8% |
マンガン (mg) | 1.2 | 4.13 | 5mg (RDI) | 25% |
セレン (μg) | 1.1 | 3.6 | 70mg (RDI) | 1.60% |
アルギニン (g) | 0.4 | 1.4 | – | – |
植物ステロール (mg) | 35 | 116 | – | – |
抗酸化能力 (ORAC-umol TE) | 559 | 1695 | – | – |
出典:NUTTAB、以下を除く
- USDA Standard Release No. 23, 2010
- USDA Database for the Oxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) of Selected Foods, Release 2
注記
%DIは、平均的成人摂取カロリーである8,700kjを元にした、1日あたりの摂取量の割合です。1日の消費エネルギー量により、摂取量は変わります。
ビタミンのRDI(1日あたりの摂取量の目安)は、FSANZ RDI、もしくはAustralian Nutrient Reference Values (NRVs) including Suggested Dietary Target (SDT) を元にしています。
マカダミアナッツに含まれる栄養素がもたらす6つの健康効果
このように健康に良い栄養素で溢れているマカダミアナッツですが、食べることで得られる効果と、毎日の食生活に取り入れるためのコツをご紹介します。
マカダミアナッツに含まれる栄養素の効果①|冷え性の改善が期待できる
マカダミアナッツには、オレイン酸とパルミトレイン酸が豊富に含まれています。オレイン酸とパルミトレイン酸の血行を良くする働きにより体温の上昇を手助けしてくれるため、特に冷え性の人が摂るべき栄養素であると言えます。その際効率的に効果を得るには、マカダミアナッツを朝ごはんで食べるのがおすすめです。人間は朝に体温を上げることで、からだを目覚めさせ、体内の働きを活性化させます。その際にマカダミアナッツを食べることで、体温の上昇を手助けしてくれます。朝食でマカダミアナッツを手軽に取り入れるなら、シリアルやグラノーラにトッピングしたり、温かいスープにして食べるとよいでしょう。また、マカダミアナッツオイルを活用する方法もあります。朝食の味噌汁に加えてあげたり、もしくはマカダミアナッツオイルを使用したドレッシングを作り置きしておけば、毎日のサラダで簡単に取り入れることができます。
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マカダミアナッツに含まれる栄養素の効果②|便秘の解消
マカダミアナッツに含まれている食物繊維は、優れた整腸作用により便秘解消の効果が期待できる栄養素です。当然ダイエットにも向いています。
ダイエット中は好きなものを好きなだけ食べられないため、ストレスを溜めてしまいがち。そんな時は、腹持ちが良く栄養豊富なマカダミアナッツをおやつ代わりに食べましょう。少量でもおなかにたまるので、イライラも解消されるはずです。
マカダミアナッツに含まれる栄養素の効果③|コレステロール値を下げる
マカダミアナッツに含まれているオレイン酸は、血液中の悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを守る働きをしてくれます。また、オレイン酸は不飽和脂肪酸の中でも熱に強い脂肪酸の一つです。炒めものや揚げ物にしても、成分が損なわれることはありません。もしマカダミアナッツで簡単にオレイン酸を取り入れるなら、肉や魚を炒めるときの油や揚げ油をマカダミアナッツオイルに変えるだけで手軽にオレイン酸を摂ることができます。また、煎ったマカダミアナッツを料理に添えるだけでも、普段とは一味違うレストラン風のおかずに変身させることができます。
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マカダミアナッツに含まれる栄養素の効果④|脳卒中の予防
脳卒中は、脳血管の栄養不足が原因と言われています。脳血管は限られた栄養素しか通ることができませんが、実はマカダミアナッツに含まれるパルミトレイン酸は、その血管を通ることができる数少ない脂肪酸なのです。
パルミトレイン酸をからだの中に取り入れる簡単な方法は、マカダミアナッツを食べることに尽きます。おつまみやデザートにして食べたり、普段食べているごはんのおともにマカダミアナッツをプラスしてみたりするのもおすすめです。
マカダミアナッツに含まれる栄養素の効果⑤|血管を丈夫に
マカダミアナッツに含まれる栄養素の効果⑥|心疾患のリスクを軽減
マカダミアナッツには、多くの女性がお悩みの冷え性や肩こりといった症状の緩和に有効なビタミンEも豊富に含まれています。また、ビタミンEには血液循環をよくし抗酸化作用もあるため、心臓病のリスクを下げる効果も期待できます。
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まとめ
たくさんの栄養成分を含むマカダミアナッツが体に良い食べ物であることはお分かりいただけたのではないでしょうか。
マカダミアナッツは、食事のなかでバランスよく栄養素を摂取することができます。一日の摂取量の目安はマカダミアナッツひと掴み(30g程度)です。明日からいきなり、というのは難しいですが、少しずつでいいので、ご紹介した方法を参考に「ひと掴みのマカダミアナッツ」を日々の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
監修
鯉江純子(管理栄養士・栄養カウンセラー・フードコーディネーター)
レシピ開発・提供、栄養セミナー・ カウンセリングをメインに活動を行っている。