ナッツ・アレルギーとは?
ナッツ・アレルギーが起きる原因は、身体の免疫システムがナッツに含まれるたんぱく質を有害な異物だと誤認識することです。アレルギー反応とは、異物と認識したものに対して身体が自己を守ろうとして引き起こされる症状です。ナッツ・アレルギーは時としてかなり重い症状を引き起こし命に関わる場合もあるので、症状が出たら専門医による診断と治療が必要です。食物アレルギーに精通した免疫学専門医や資格を持った栄養士に相談をすることをお勧めします。ナッツ・アレルギーの場合、複数の種類のナッツに対してアレルギーを発症することもありますが、一種類のナッツのみアレルギー反応があり、他のナッツは問題なく摂取できる場合もあります。
主なナッツの種類
- アーモンド
- ブラジルナッツ
- カシューナッツ
- 栗
- ヘーゼルナッツ
- マカダミア
- ペーカンナッツ
- 松の実
- ピスタチオ
- クルミ
食物アレルギーへの唯一の対処法は、食べないこと
食物アレルギーの場合、唯一の対処方法は、ナッツ類であれ、ほかの食物であれ、アレルギーの元になっている食物を口にしないことです。たとえ少量の摂取であっても、命に危険のある症状を引き起こす可能性があります。ナッツの場合は、アレルギー反応を示すナッツが特定された場合、他のナッツは摂取できますが、剥き実のものは他のナッツと混ざりあう可能性もあるので、殻付きのものをお勧めします。
ナッツ・アレルギーが起きる人はどのくらいいるの?
オーストラリアは世界中でも食物アレルギー反応を持つ人の割合が高く[1]、なかでもナッツ・アレルギーは乳児、幼児の3.1%が反応をしめす食物アレルギーと言われています[2]。幸いにも、マカダミアのアレルギーは稀で、ナッツ・アレルギーの中でも、反応の出る人は約5%以下の見込みです[3][4]。卵や乳製品などの食物アレルギーの場合、子供が成長し就学する頃の年齢には耐性ができることがほとんどですが、ナッツ・アレルギーは成長してもなかなか耐性ができづらく[5]、約20%の子供は症状がなくなりますが、他は大人になっても続くと言われています。2015年に行われたナッツ・アレルギーの調査[6]では、国によって有病率に差があり、平均的にみると人口の約2%以下がアレルギー反応があり、多いところでは約5%との結果がでています。興味深いのは、国によりアレルギー反応を示すナッツの種類が異なることです。例えば、イギリスではくるみアレルギーがもっとも多く、欧州ではヘーゼルナッツアレルギーがもっとも多いようです。
ナッツ・アレルギーの症状
多くの場合、食物アレルギーは摂取直後から症状が発生し、かゆみ、腫れ、じんましん、息切れ、呼吸困難、発汗、めまい、吐き気、腹痛などの症状が出ます。重篤な場合はアナフィラキシー反応が起き、喉が腫れて呼吸ができなくなり、急な血圧低下により臓器不全をもたらし、治療が行われないと死に至ることがあります。ナッツを食べてアナフィラキシー反応が起きる人は、間違ってナッツを摂取してしまった時のためにアドレナリン(またはエピネフリン)の入ったペン型の注射器を携帯することが奨励されています。もちろん、早急な診察・治療も必要です。また、食料品を買う時は表示を注意深く読み、レストランやカフェで食事をする際には材料について質問するなど、生活の中で注意深く行動する必要があります。
ピーナッツはナッツ(木の実)?
ピーナッツは地上になる実であり、マメ科植物に分類されます。木の実ではありません。ですが、ナッツ・アレルギーに関しては、反応症状がよく似ているため、ナッツ(木の実)と同じくくりとして取り上げられます。ピーナッツ・アレルギーはナッツ・アレルギーより多いですが、マカダミアも含め、どちらのアレルギーも深刻な反応(アナフィラキシー反応)を起こします。また、ピーナッツやナッツ・アレルギーにかかる人は増加傾向にありつつも、その原因ははっきりとわかっていないため、原因についての調査がメルボルンで行われています[7]。
ナッツを食べないようする
ナッツなどのアレルゲン(アレルゲン物質)を含む加工食品に関しては表示義務があり(日本の場合は消費者庁 – アレルギー表示に関する情報を参照)、消費者がそれを避けることができるようになっています。表示が不明瞭だった場合は製造者に問い合わせることも必要かもしれません。また、お子さんがナッツ・アレルギーを持っている場合は、間違って食べることを避けるため、家の中に一切ナッツを持ち込まないことが推奨されます。子供の友人が家に遊びに来る時や大勢でパーティをする場合、知らない子供がアレルギーを持っている可能性を考え、ナッツやナッツの入った食品の提供については十分に注意をして下さい。
学校や子どもケアセンター内のナッツの取扱い
個々の学校や子供ケアセンターでは、ナッツ・アレルギーを申告している子供がいる場合、事故を未然に防ぐために他の子供に対しても学校にナッツを持ってこないよう通達を出すことが望ましいです。ですが、州政府は校内でナッツを完全に禁止することの効果は示されていないため、特に推奨はしていません。このような捻じ曲げられた安心感を植え付けると、子供たちは簡単に油断してしまうためです。校内では子供たちにアレルギー注意点等を指導するべきなのです。ナッツ・アレルギーを持っている子供には、友人と食べ物を交換することの危険性を学ばせ、また友人たちにも、アレルギーの子供とは食べ物を交換しないよう教えてあげる必要があります。アレルギーとアナフィラキシーオーストラリアのプログラムは、このよい例です。
妊娠中のナッツ摂取
妊娠中にナッツ・アレルギーを軽減するためにナッツを摂取しないほうがよい、という根拠はなく、もともとナッツ・アレルギー反応があるのであれば、ナッツは摂取しないでください[8]。
乳児の離乳食にナッツ・ペースト
近年、オーストラリアのアレルギー専門家は、乳児にナッツを与えるためのガイドラインを作成しました。他のタンパク質食品同様、4~6ヵ月の乳児の状態をみながらペーストまたはバター状のナッツを与えはじめるのです[9]。
さらに詳しい情報は、www.nutsforlife.com.au にてご覧いただけます。(英語のみ)