3月8日は「国際女性デー」
オーストラリアマカダミア産業におけるジェンダー平等とは?
少しずつ働き方は進歩しているものの、ジェンダーに捉われずに誰もが活躍できる社会の実現に向けて、まだまだ過渡期とも言える日本。ではオーストラリアのマカダミア産業はどのような状況なのでしょうか?
3月8日の「国際女性デー」にちなんで、今回はオーストラリアのマカダミア産業で活躍するパワフルな女性6名をご紹介。
キャリアや男女平等の推進など、彼女たちの目から見たマカダミア産業とはどのようなものなのでしょうか。
海外では「ミモザの日」とも呼ばれ、黄色いミモザの花がシンボルとして親しまれている3月8日は「国際女性デー」。International Women’s Day(IWF)として女性の社会進出やジェンダーギャップを考える日として、世界中で広がりを見せています。
実はオーストラリアのマカダミア産業でも多くの女性が活躍しています。その取り組みや、産業の背景について少し覗いてみましょう。
オーストラリアのマカダミア産業がなぜ、女性にも働きやすいのか
■女性就農者へのサポートが手厚い
マカダミア生産者、リサ・マクルーア(ニューサウスウェールズ州ダヌーン)
マカダミア農家のダイアン・チールとリサ・マクルーアは、出身地も経歴も全く異なりますが、今では多くの共通点を持っています。
農業の経験がなかったTAFE教師のリサ・マクルーアは、夫のダニエルとともにニューサウスウェールズ州ノーザン・リバーのダヌーンに2つのマカダミア農園を購入した時から、大きな学びの道へ歩み出しました。
“私たちがこの地域に戻ってきたとき、マカダミア農家としての道を歩むことに決めたのです “と彼女は言います。”農業のバックグラウンドを持っていない私たちでも溶け込める、歓迎される産業だと感じました”
さらに、ダニエルがIT業界で仕事を続けていたため、リサは一人で農場を管理するという課題も抱えていました。彼は暇さえあれば農作業を手伝ってくれましたが、勉強は大変でした」とのこと。
また、2022年3月上旬、果樹園に降った激しい雹により、農園は大きな打撃を受けたことがありました。
「カスタードアップルやアボカド、樹齢100年のユーカリやブラッドウッドの大木がダムに落ちて、ブルドーザーで切り倒さなければなりませんでした」とも述べています。
マカダミア栽培農家、ダイアン・チール(クイーンズランド州)
ダイアンが農作業に携わるようになるにつれ、農場の後継者問題について話し合いが持たれました。その結果、父親が亡くなった後は、自分がトラクターに乗り、家業である農業を引き継ぐというプランに、ダイアンと父親は合意しました。
「私は非常に手先が器用なので、父は私を男のように扱い、あらゆることをするよう期待されています」とダイアンは言います。
父と一緒にしている仕事は、ある種、見習いのようでもあり、常に作業場にいるのを求められているわけではなく、農場のあらゆる面に携わっているのだと彼女は説明します。大変なこともありますが、その分ダイアンの能力も向上し、何かを修理したり、作業を完了するための最も安全な方法を考えることができるようになりました。
「重いものを持ったり、機械が壊れたりすることが多いので、バッテリーの修理やアドオンの交換など、機械のメンテナンスを学ばなければなりませんでした」とも話しています。
■情熱を持った女性を応援してくれる
サンシャイン・コーストにあるナッツ加工会社、ナットワークスのCEO、カイリー・ワトソンは、マカデミア産業における女性の活躍の場について「女性であることで不利になったとは思いません」と断言。実際彼女が経営する会社のスタッフの4分の3は女性だとか。
「女性がこの業界で活躍したいと思えば、チャンスはいくらでもあると思います」と語るカイリーさん。今後マカデミア業界で働く女性の数が増加する中で必要なのは、女性同士が安心して交流できる場があるとより働きやすいのでは、とさらに働きやすい環境を整えていくことの大切さについても言及しています。
■全ての人に平等にチャンスがある
キャンディ・ジョンソンは2015年からマカダミア産業に参画、数年のうちに急激に業績を伸ばし、ナッツの品質を競うアワードで受賞もしたことのある優れた経営者です。
「その気になれば、身体能力の差はあってもたいていのことはできるんです。自分の農場を持ち、トラクターを運転し、研究もして、と精力的に活躍している女性がこの産業にはたくさんいるんですよ」とキャンディさん。
マカダミア産業では男だから、女だから、ではなく当たり前に「能力」や「技能」に応じた平等な雇用体制が整っているとか。挫折しそうになったときには同じ思いをしながら道を切り開いてきた先輩女性の話を聞くことが一番のパワーになる、とも話しています。
■新しいものを歓迎する風潮
マカデミアの病気の検出とスクリーニングを専門とするクイーンズランド大学の研究助手兼博士号候補者、オルミデさんは「マカダミア業界の特徴は、性別、年齢、社会的地位、役割に関係なく、ネットワークが形成され、非常にオープンな産業です」と話します。
また彼女は、女性がオーストラリアのマカデミア産業の未来に大きく貢献することができると確信しています。居場所を確立するためには「自分の得意分野をアピールし、明確で達成可能な目標を立て、積極的に貢献する姿勢を見せる」ことが大切だと伝えます。
■業界に活力を与える革新的な女性たちを後押し
メル・カッチャニガさんはマカダミアナッツの栽培という夢を実現するため、2年前に夫のロンとともにノーザン・リバーズへ移住してきました。
メルさんは「マカダミア産業こそ女性たちがチャンスをつかみ、輝きを放っていける分野」だと考えています。マカダミアが実るまでのクリーンでグリーンな生産工程を世界中のメディアや消費者に発信することがPR活動においてとても大切だと説き、そこが女性の強みだとも話します。
「人々は自分や大切な人が口にする食べ物がどのような環境で育まれてきたのか、そのストーリーに魅力を感じる傾向にあります」とメルさん。「そして特に、女性はそういった背景を共有することが上手なんです」とも。
また産業内での技術革新が女性を含むすべての人を今後サポートすることになるだろうと話します。
「マカダミア栽培の性質上、肉体的な負担が大きく、果樹園で長い時間を過ごすことになります」とメルさん。しかし、自動化やロボットなどの技術開発が、肉体労働を敬遠する女性にとって「ゲームチェンジャー」になると考えており、益々発展する伸びしろのある産業だと話しています。
■どの分野でも平等に門戸が開かれている
9年前にメルボルンからバイロンベイに移住したサマンサ・ゴーイングさんは、世界有数のホテルやスパのためにウェルネスや料理のプログラムやメニューを考案し、オーストラリアを代表するスパシェフとして知られるように。マカダミアナッツをメニューにも多く取り入れ、女性ならではの繊細なタッチで仕上げる一皿一皿に定評があります。
またマカダミアのみならず地域の食材を豊富に使用している点も魅力の一つ。「ターメリックは、ここノーザンリバーズでよく育つ植物です。免疫システムをサポートし、アルカリ性にする効果があり、クルクミンという強力な物質が含まれていて、抗酸化作用があるんですよ」と彼女独自の視点から食材を吟味し調理する、そのスキルがキャリアにしっかり繋がっているといえるでしょう。
まとめ
今年の国際女性デーのテーマは#embraceequity(公平性を受け入れよう)。平等と公平性の違いに焦点を当て、平等は同じものを与えるということ、公平性はそれぞれに見合ったものを与えるという多様性の意味合いも含んでいるとか。
3月8日はぜひミモザを飾って、みんなの生きやすい社会について考えてみるのもいいかもしれません。
【参考サイト】
https://www.internationalwomensday.com/
【元の記事】