開いて、眺めて、憧れて!オーストラリアのレシピブック 10 選
今年の年末年始はご自宅で過ごされる方が多いかと思います。
読書をしながらオーストラリアの食文化への知見を増やして、ご自宅での時間をより有意義に過ごししませんか?
外国のレシピブックを開き読むと、英語の勉強になるのはもちろん、その国の食文化や、出版当時に流行していた食材や食器など、食のトレンドが見えてきます。今回は、オーストラリア家庭料理の過去 50 年にわたる変遷と未来を感じていただけるレシピブックをご紹介します。
良いレシピブックは、時の試練に耐えられるかどうかで分かります。折り目や書き込みがたくさんあったり、栞いくつもはさまれていたり、他のレシピが切り貼りされていたり、良いレシピは昔も今も愛され、作られ続けているはずです。
なかなか海外旅行には行けない今だからこそ、レシピブックからオーストラリアを感じてみて。
時代を超えた古典的レシピブック
『Children’s Birthday Cake book』 著者:Women’s Weekly
誕生日が近付くと、子ども達が今年はどんなケーキが良いかと夢中になってページをめくる『チルドレンズ・バースデー・ケーキ・ブック』は、オーストラリアン・ウィメンズ・ウィークリー社から 1980 年に出版されたバースデーケーキのレシピ集です。『オーストラリアン・ウーマンズ・ウィークリー』誌は 1933 年に創刊された女性向け週刊誌で、『チルドレンズ・バースデー・ケーキ・ブック』は、同誌のフードエディターだったエレイン・シンクレアの発案によるもの。
エレインの人気の理由は、料理に対する実直な姿勢にあります。彼女のレシピはどれも、都市部に住む人だけでなく、オーストラリアに暮らす人なら誰でも簡単に入手できる食材を用い、3回の試作を経てどんな人でも失敗せずにできるかを確かめた上で紹介しているレシピです。
2011 年に復刻版が出版されるまで絶版となっていた本書は、多くの家庭で家宝のように大切に読み継がれていました。2011 年に出版された復刻版は、2020 年のロックダウン中に売上30%増を記録していることからも分かるように、本書の魅力は尽きることがありません。
『CWA Country Classics』 著者:The Country Women’s Association
『CWA カントリー・クラシックス(CWA Country Classics)』は、オーストラリアの家庭料理の専門家であるカントリー・ウイメンズ・アソシエーション(Country Women’s Association)の会員が提供した 400 以上のレシピをまとめた田舎料理のレシピ集です。100 年以上にわたり、オーストラリアの農村部にしっかり根差して暮らしている彼女たちほど、本物のオーストラリア料理を知っている人はいません。プディングやケーキ、ビスケットなどの本格レシピから、サラダ、スープ、煮込み、パイ、オーブン料理、ピクルス、チャツネなどのレシピも掲載されています。
『The Margaret Fulton Cookbook』 著者:Margaret Fulton
マーガレット・フルトンは、セレブシェフという言葉が使われるようになる前からセレブなシェフでした。家政学が専門で、『Woman’s Day』誌(Woman’s Weeklyのライバル誌)の編集者になる前は、料理の先生をしていたマーガレット・フルトンは、肉と3種の野菜だけだった当時の一般的なオーストラリア家庭料理をそれ以上のものに押し上げ、料理はクリエイティブなものであるべきだと説きました。本書の初版は1968 年に出版され、現在は 50 周年記念版が販売されています。彼女のレシピの多くは今日もオーストラリア人の普段の食卓に並んでいます。
料理百科的レシピブック
『The Cooks’ Companion』 著者:Stephanie Alexander
1996 年に出版されたステファニー・アレクサンダーの『ザ・クックズ・コンパニオン(The Cooks’ Companion』はベストセラーとなり、各家庭に必ず一冊あるレシピブックの大定番となりました。2014 年に増補改訂版が出版された本書には派手な写真はないけれど、アンチョビからズッキーニまで食材ごとに百科事典レベルの細かい情報が記載されています。料理の基本が書かれたこの本がベストセラーになった理由はおそらく、本文以外のところにありました。読者のお目当ては、バリエーションや付け合わせの提案、役立つヒントなどが書かれていた備考欄でした。本書が長く愛される理由は余白の備考にあり。読めば何かしらひらめきを与えてくれる良書です。
『The New Classics』 著者:Donna Hay
ドナ・ヘイは、『マリ・クレール(Marie Claire)』誌および『マリ・クレール・ライフスタイル(Marie Claire Lifestyle)』誌のフードエディターを務めた後、独立し、2001 年に自身の名を冠した料理雑誌『ドナ・ヘイ・マガジン(Donna Hay Magazine)』を始めました。以来、どのように暮らし、どのように食べるかをテーマに、21 世紀初頭の風潮をよく捉えたレシピブックを数多く世に送り出しています。彼女のレシピブックは絶妙な写真とフードスタイリングが特徴で、夕食のメニューを決めるはずが、写真を見るだけで心が満たされてしまいます。ドナ・ヘイのレシピブックにハズレはありませんが、2013 年出版の『ザ・ニュー・クラシックス(The New Classics)』は、オーストラリアの定番料理レシピを詰め込んだ彼女のフードマニフェストであり、料理愛好家必携の 1 冊です。
Maggie’s Harvest』 著者:Maggie Beer
著者のマギー・ビアは、テレビの料理番組でも有名な、オーストラリア料理界のアイコン的料理家です。2007 年に出版された『マギーズ・ハーヴェスト(Maggie’s Harvest)』は、彼女が拠点とする南オーストラリア州バロッサ・バレーに捧げるレシピブックです。季節ごとに分類されたレシピには、食材の説明や思い出の食事のストーリーが添えられ、読み手にバロッサ・バレーの季節の移り変わりや時間の流れを感じさせます。前出の『クックズ・コンパニオン』と同様に、本書にも写真はほとんどありませんが、地元産の新鮮な食材を使った、350 以上のマギー・ビアのレシピが掲載されています。
『The Complete Asian Cookbook』 著者:Charmaine Soloman
1976 年に初版が出版された『ザ・コンプリート・アシアン・クックブック(The Complete Asian Cookbook)』は 30 年間そのままに版を重ね、2016 年に新バージョンがお目見えしました。2016 年版には 16 カ国 800 以上の分かりやすいレシピが掲載されており、それぞれにまったく異なるスタイルのアジア料理を紹介しています。1970 年代にオーストラリア人に衝撃を与えた本書は、今日も、美味しい実用的なレシピを提供しています。
オーストラリア料理の明日を感じさせるレシピブック
『Warndu Mai』 著者: Rebecca Sullivan and Damien Coulthard
レストランや食品メーカーがオーストラリア原産の食材のメリットに気付いて数年が経ちますが、今や家庭の台所でその素晴らしさを知るべき時になっています。『Warndu Mai』は、カカドゥプラム、ネイティブカラント、フィンガーライム、ペッパーベリーといったオーストラリア原産の食材の豊かな風味と多様性を紹介し、そうした食材を家庭料理に取り入れて、おいしい上にサステナブルな料理や飲み物を作る手助けになるレシピブックです。マカダミアナッツを使った絶品レシピもいくつか載っているのが嬉しいところです。
『Community』 著者:Hettie McKinnon
サラダ研究家ヘティ・マッキノン(Hettie McKinnon)は、2011 年に『アーサー・ストリート・キッチン』を立ち上げ、シドニーのサリーヒルズの住民向けに、自転車で手作りサラダを配達するサービスを始めました。初著『コミュニティ(Community)』には、オーストラリアならではの素晴らしい新鮮な食材と美食への愛が詰まっています。とはいえ、「マカダミアナッツクラストとラズベリーアイスのヴィーガン・ルバーブ・クラストタルト」のレシピが掲載されている 2 作目の『ネイバーフッド(Neighborhood)』も引けを取らない良書です。どちらも掲載されているレシピは全てベジタリアン料理で、誰もが安心しておいしく楽しめる料理がコンセプトになっています。
『The Global Vegan』 著者:Ellie Bullen
肉食をめぐって環境および倫理的観点から賛否両論が飛び交う今日だからこそ、『ザ・グローバル・ヴィーガン(The Global Vegan)』は一読の価値があります。ブロガーであり、インフルエンサーでもある管理栄養士のエリー・バレン(Ellie Bullen)が世界中を旅しながら開発したヴィーガンレシピを集めた本書には、インドネシアやインド、韓国、日本などの、素材の良さをいかしたレシピが美しい写真とともに紹介されています。パッタイ、アルジーラ、激辛ラーメンなど人気メニューのヴィーガンレシピに旅や料理の写真が添えられて、見ているだけで刺激される今おすすめの一冊です。
オーストラリアを感じるレシピにチャレンジしてみよう!
オーストラリアから届いたレシピの中から、”これぞオーストラリア”なレシピをご紹介します。
まとめ
もうすぐ冬休みですが、今年はガマンの年末年始。料理本を読んだり、いつもとはちょっと違う新しいマカダミアナッツ・メニューにチャレンジして、おうちで充実した時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?