居心地の良さはバツグンです♡
〜オーストラリア マカダミア農園の生物多様性へのやさしい取り組み〜
2022年もお疲れ様でした!今年最後のコラムでは、心をほんわかと温かくしてくれる「やさしさ」をお届け。生物が気持ちよく過ごせる環境、そこで豊かに実るマカダミア、生産者の自然を慈しむ眼差し。オーストラリアのマカダミア農園に溢れる、生物多様性への思いやりの心に触れてみてはいかがでしょう。せわしない時期だからこそ、ちょっと立ち止まって。のんびりとした風景を思い浮かべ、リラックスしてください。
オーストラリアのマカダミアナッツ生産者は、環境保護への意識がとても強い方ばかり。自分達の大地をいかに守り、未来へと繋げるか、といった強い思いを持って取り組んでいます。収量ばかりを目指すのではなく、安心、安全な品質管理と、自然の生き物たちへの想い、両方を大切にしています。
このように自然と調和しながら、生産・栽培に従事する人のことを「グリーニー」と呼ぶようです。響きもなんだか、とてもピースフル。
愛情に満ち溢れた環境の中、深い慈しみを持って育てられているマカダミアナッツ。その農園に溢れる「優しさ」に迫ります。
マカダミア農園のやさしさのバトン
生物多様性を尊重し、バランスを崩さないような栽培方法を、彼らグリーニーたちは日々模索しています。その優しさに触れてみましょう。
♡微生物の力を利用して土壌をフカフカに!
ニューサウスウェールズ州北部のアルストンビル高原でマカダミアを栽培しているロス・アーネットさん。
ロスさんの理念は「いかに地球に優しい方法でマカダミア栽培を行うか」だそう。特に土づくりにはこだわりがあるそうです。
土が病気になってから農薬剤や消毒剤を撒くのではなく、元々存在している土壌の微生物に堆肥を与え、健全な土壌へと育てることを大切にされています。
「肥沃な土壌は健全な樹木の成長につながります。健康な樹木は、害虫や病気の問題が少なくなります。そしてその健康な樹木から収穫した、栄養豊富なマカダミアを我々が食べて幸せになる。地力をアップさせることで、この素晴らしい循環ができるのです」
♡ミツバチにとって過ごしやすい環境!
ミツバチは世界の食糧のおよそ1/3, 全作物のおよそ7割の受粉を支えている、と言われています。しかし、現在ミツバチの個体数は減少の一途を辿っているとか。原因は農薬使用や生息地の森林の減少、気象状況など多岐にわたります。
オーストラリアのマカダミア生産者は農薬を使わないクリーンでグリーンな栽培方法を実施。農園内に巣箱を設置し、オーストラリア原産のミツバチを使ってマカダミアの受粉を促しています。花粉媒介の昆虫は、環境の変化にとても敏感。よって、自然な動線を作り、ミツバチが活動しやすい環境を整えているのです。
体が小ぶりな故、花序に咲く小さな花から花へと潜り込むことができるオーストラリアのミツバチ
♡目指せ生物の楽園!
ロスさんの農園には、昆虫や鳥たちが自然と集まり、生息地にするような工夫が随所に盛り込まれています。
例えば、被覆作物(カバークロップ)。被覆作物とは、露出する土地の表面を被覆するために植える植物のこと。雑草を抑制したり、土壌浸食を防いだり、土壌中に有機物を加えて土壌改良を促したり、害虫を食べる益虫を呼び寄せたり、と植えることで多くのメリットがあります。
ロスさんの農園では、マカダミアの樹の周囲にソバやクローバーを植えています。さらにヒマワリ、サンヘンプ、モロコシなど少し背の高い被覆作物も同時に植え、高低差をつけることで、より多くの野生動物たちの生息地になっているとか。
「アブラムシはテントウムシを呼び寄せてくれるし、クサカゲロウはマカダミアのつく害虫を食べてくれる。農薬に頼らず、生態系を尊重することで、すべてが美しく機能するんです」とロスさん。多種多様な生物が太古の森林のごとく、当たり前に行き交う風景が目に浮かびます。
さらに、カバークロップのメリットは、干ばつに直面しても地力の回復を促す効果が期待できることにもあるようです。
2019年と2020 年の夏、オーストラリアではこれまでに経験したことのない最も厳しい干ばつに襲われました。にもかかわらず、ロスさんの農園の木々は健康で、ストレスの多い状況でも花を咲かせていたとのこと。本来自然が持っている力を最大限に引き出せるよう、やさしさと思いやりで後押ししているのです。
♡虫や鳥の通り道
レックス・ハリスさんの農園にもやさしい取り組みがたくさんあるようです。
レックスさんは、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)において、地域をリードするマカダミア生産者の一人。
生物のことを考えるあまり、とうとうマカダミアナッツの樹木を一列ごとに取り除き、あらゆる生き物がストレスなく移動できるように通り道を作ったのだそう!さらにロスさん同様、高低差のあるカバークロップを植え、多くの生物が自然と集うような環境を整えたのです。
「私たちはマカダミア農園を単一栽培から多栽培にしました。現在、より多種多様な有益な昆虫や蝶々が生き生きと活動していますよ。鳥たちだって、たくさんやってきます。農園中が華やいで、喜びに満ち溢れています」
♡その土地で咲いて、土壌に還るひまわり!
さらに、「カバークロップ」としてマカダミアの木々の間にひまわりを植えたレックスさん。ここのひまわりは切り花として収穫されるのではなく、花の時期は虫たちを惹きつけ、その後はそのまま大地に敷き詰められて土壌中の微生物や生物によって分解されます。
そして分解されたひまわりは有機物となり、そのまま土へと還ります。こうすることで土壌が育ち、通気性や保水力が高まり、農薬や無駄な堆肥に頼らずとも再び元気な植物が芽吹いてくるのです。
まとめ
このように優しい気持ちが繋がって、また繋がって。自然のサイクルを維持しているオーストラリアのマカダミア農園の取り組み。何百年も先の未来に美しい地球を残すため、グリーニーたちは今日も豊かな農園づくりに励んでいるのです。
【オリジナル記事】
https://www.australian-macadamias.org/consumer/sustainability/promoting-biodiversity/
https://www.australian-macadamias.org/consumer/ross-arnett/
【参考サイト】