日光と再生型農業:マカダミア栽培に必要な理由とは?
大きな変化をもたらすうえで欠かせないものーそれはチームワーク。
ここ数年、レックス・ハリスと妻のリネット、息子のカールとダニエル、そして農場マネージャーのマーク・ジョーンズとアグロノミスト(農学士)のレイ・オグレイディのチームは、協力しながらマカダミアを育てるための、より自然にやさしい環境づくりに取り組んできました。
マカダミアの木を1列おきに間引き、その場所にヒマワリ、ソルガム、ササゲ、亜麻、その他12種類の植物を植えるという地道な作業によって、農場を転換していったのです。これは、地上のみならず地下も含めた多様な生態系(ポリカルチャー)を生み出す取り組みの一環であり、その成果は家族が想像していた以上の形で現れました。
土壌を守るということ
ニューサウスウェールズ州北部のバンガロー村の外れに位置するこの土地は、かつてトウモロコシやジャガイモが栽培されており、1990年に果樹園へと生まれ変わりました。当時、樹木の列の間には南アフリカ原産の「スウィート・スマザーグラス」が地表を覆うように植えられていて、時折降る強い雨による土壌侵食を防いでいましたが、果樹園が成長するにつれ問題が生じてきたのです。

「果樹園が成熟し、木々が林冠を形成していったことで、地面に日光が届かなくなってしまったんだ…」とレックスは説明し始めました。
「そのうちスマザーグラスが枯れていき、土壌を保護するものが全くなくなってしまった。そこで、私たちは果樹園の木を1列おきに間引くようにしたんだ。そうしたら、十分な日光が戻ってきて、地表の植生も回復した。だから、季節ごとにカバークロップを導入できるようになったという訳さ」
今や夏のカバークロップとして特に好まれるようになったのがヒマワリ。
ヒマワリは上へ上へと伸びるため、つる性マメ科植物の支柱としても機能し、レックスの果樹園は周囲のどの果樹園とも異なる特徴的な景観を呈するようになりました。
それは、単に1列おきに花畑があるというだけでなく、そこに生まれる多様な生き物たちが、豊かな生態系を形づくっていたのです。
「私たちは果樹園をモノカルチャーからポリカルチャーへと転換させたんだ。今では虫が溢れていて…益虫や蝶が飛び交い、鳥も以前よりずっと増えているでしょう」
再生型農業の原則と実践
レックスが大切にしている再生型農業の実践のひとつに、「常に地中に生きた根がある状態を保つ」という理念があります。
そのため、ヒマワリは切り花として収穫せず、土壌を育てるための大切な役割を担います。
「ヒマワリはとても背の高い植物だから、茎を約100ミリ間隔で折り曲げながら倒していくんだ。そうすると、ものすごく分厚いマルチ層になるんだよ」とレックスは話します。
その上から、次のシーズンの被覆植物を不耕起プランターで直接植え付けていくのです。耕さずに植えることで土壌の有機物が増え、マカダミアの木の保水力が高まり、農場全体の多様な生態系も同時により豊かになっていきます。

2011年以降、この農場では化学肥料の使用をやめ、代わりに堆肥(現在は間引いた木も含まれている)で木々を育てる方法へと切り替えました。この10年余りで、1本の木に与えられた堆肥の量は、なんと約1トン。
こうした積み重ねが土壌の健康を高め、農場そのものが「生きたシステム」として機能するようになってきました。
「今では土壌そのものが生きていて、驚くべき自然の営みが広がっているんだ」とレックスは続けます。
「被覆作物を入れ替えるたびに、前の作物が大量のバイオマスとなって微生物に分解され、その上にまた新しい作物が育ち、植物層が幾重にも重なっていく。そして、最終的にはすべてが土に戻り、土壌が再生されていくんだよ」
愛すべき昆虫たち
すべてが繊細なバランスを保っているピカデリーパークにおいて、レックスは農場の生物多様性を高めるために常に学び、試行錯誤を重ねています。
多くのマカダミア農家が害虫駆除に益虫を活用する中、レックスはそれを新たな次元へと昇華させました。

「初めて多種の被覆作物を入れ替えたとき、大きな教訓を得ることができたんだ」と彼は振り返ります。
「一気に全部を入れ替えてたんだけど、作業がかなり進んだ頃になって、昆虫の群れに遭遇したんだ。でも、そこで初めて、彼らには行く場所がないことに気づいたんだよ。なぜって、僕たちが彼らの生息地を丸ごと奪ってしまっていたんだよね」。
その後、彼は敷地内に恒久的な昆虫生息地(常に開花する植物の草原)を作りました。
いまでは、被覆作物を入れ替える際、益虫の生息地を最大化するために植栽は段階的に行っており、農場全体に恩恵をもたらしています。
また、マカダミア果樹園とは別に、レックスは過去20年の間に6万本もの熱帯雨林の木やスゲ類を植えてきました。
いまでは、鳥たちの生息地として定着したピカデリーパークは、生物多様性の楽園へと姿を変えています。
マカダミアの木々の間に広がるヒマワリ畑は、ピカデリーパークを他の農場と区別する存在であると同時に、レックスが今後も継続して進める生物多様性の壮大なプログラムの象徴でもあるのです。
まとめ
生物多様性という言葉をよく耳にしますが、自然の少ない街中で暮らす多くの人々にとっては、どこか遠いものとして捉えがちです。
今回ご紹介した、広大なレックスのマカダミア果樹園での取り組みは、「オーストラリア」ならではのものなのでしょうか。
実は生物多様性は私たちの身近にも深く関わる大切な要素なのです。
多様な生態系は、日々の暮らしに恵みをもたらしています。地中に根が張っていれば土砂崩れを防ぎ、自由に飛び交う蜂はハチミツを運び、薬の原料となる植物は私たちの健康を支えてくれます。
こうした自然の働きは、生物多様性があってこそ成り立つものです。
レックスのように自分のマカダミア果樹園を守り、持続可能な農業へ導くような壮大な取り組みでなくても、一人ひとりが自然環境に配慮した行動を心がけるだけで、地球の未来も守られていくと願わずにはいられません。
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