マカダミア生産者の横顔:ロン&メル・カッチャニガ
7年前、ロンとメル・カッチャニガ夫妻は、畜産と複合農業から一転して、文字通り「自然豊かな環境への移住」を決意し、マカダミア栽培に乗り出しました。
現在、ニューサウスウェールズ州北部のアルストンビル高原のトリ―ギル(Tregeagle)と、ブロードウォーター近くのダンガラバ(Dungarubba)の2カ所にマカダミア果樹園を所有しており、特にダンガラバでは新たな果樹園の開発が広範囲に進められています。
メルによると、管理方法も課題も大きく異なる2つの農園を運営することは、常に気が抜けず、短期間でマカダミアについて多くのことを学ぶ必要があったといいます。
幸いにも2人は農場経営の初心者ではありません。以前、ニューサウスウェールズ州北西部グレイブセンド近くにある、ロンが所有する大規模な牧場で暮らしていました。
この経験が、特に家畜生産といった伝統的な産業と比較したとき、マカダミア産業に対する新たな視点をもたらしてくれたのです。
マカダミア保全への取り組み
言葉の端々から溢れ出てくる、マカダミア産業に対する2人の熱意と情熱は隠しきれません。
メルは、木そのものからナッツの味、そしてオーストラリア固有の起源に至るまで、マカダミアナッツのすべてが大好きだと言います。
ロンとメルはMacadamia Conservation Trust(マカダミア保全トラスト)にも携わっており、トリ―ギルの農園には保全用のマカダミア樹木園(アーボリータム)を設立しました。
メルは語ります。
「たった1本の木が、人生をこんなにも素晴らしい方向に変えてしまうなんて、本当に不思議」

「私たちの果樹園には、美しいまま古木となったマカダミア・テトラフィラ(ブッシュナッツ)の木があります。これはゴンドワナ時代まで遡る、ビッグ・スクラブ熱帯雨林に自生していたマカダミアの原種です。果樹園の一番高い場所に立ち、春には甘い香りのピンクの花を咲かせ、秋にはクリーミーで美味しいナッツを届けてくれます。この木について学ぶことが、私たちを素晴らしい旅へと導き、新しい友情、冒険的なブッシュトレッキング、そしてアーボリータムの設立へとつながりました」
2022年の洪水
1万本のマカダミアの植樹を終えた1年後の2022年、ダンガラバ果樹園を洪水が襲いました。
その被害は甚大で、水が引いた後に現場へ向かった2人が目にしたのは衝撃的な光景でした。植えたばかりの若い樹木が1週間近く、数メートルの水の下に完全に沈んでいたのです。
高さ40cmの盛り土の上に植えられた樹木も、排水が良好だったにも関わらず、大規模洪水の前ではまったく意味をなしませんでした。
「1954年に起こった洪水を経験し、当時を知っていた近隣のファミリーから聞いていた水位を、はるかに超えていた」とロンは話します。

洪水の影響について語るとき、メルもロンも感情が露わになります。
「大丈夫だと思っていても、話すのはまだつらいんです」とメル。
「この果樹園は初日から私たちがすべてに深く関わってきた場所。それが一瞬で失われたのを見るのは本当に苦しかった」と続けます。
そんな中、Blaze Aidブレイズエイド(火事、洪水等の被災地で、農家や個人を支援するボランティア組織)、 そして友人たちが植樹作業を手伝ってくれて、その精神的な支えは計り知れないものだったそうです。
「1列、また1列と次々と植樹が進んでいくのを見ることで、前に進む力が湧き、やるべきことが現実的に思えるようになった」といいます。
復興への道のり
二人は「戦い抜いた」という気持ちでいっぱいになりながら、前を向いています。
「まだ165本の木を植える必要があるけど、そんなこと数えてる人なんていないでしょ?」とメルは笑っていいました。
「植え直しを始めた頃、列の間にまた緑が見え始めたとき、本当に励みになりました」とロンは続けます。
家族や友人、そして特にBlaze Aidのボランティアたちの支援が、この困難を乗り越える力になったと2人は感じています。
「果樹園に関しては、将来を前向きにとらえている」とロンは言います。
ロンとメルは、Gondwana Macadamias (ゴンドワナ・マカダミア)というブランドでマカダミア製品のラインを開発し、オンラインで販売もしています。
2023年9月に発売されたこのシリーズでは、マカダミアの驚くべき多様性が見て取れます。

ゴンドワナの製品は、農園で収穫・脱殻・保管・低温ローストされたマカダミアが使用されています。詳しくは www.gondwanamacadamias.com.au をご覧ください。
まとめ
日本は地震をはじめ、様々な天変地異に襲われる地球上でも稀な災害大国と言われています。
いつ起こるか分からない災害ですが、人々は必ず立ち上がり、お互いに助け合って復興を遂げています。
どんな備えがあったとしても、想定通りにはならない現実を日本人は身をもって知っているとも言えます。
ですが、どんなことが起ころうとも前を向き、希望を捨てなければ、必ず明るい未来が訪れると信じて、日々を過ごしていきたいと、ロンとメルが感じているように、私たちも信じていきたいものです。
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