ある夫婦の物語:グレン&アリー・ウエバーガング夫妻の挑戦
ニュー・サウス・ウェールズ州ヤンバ近郊のパーマーズ・チャネルの地でマカダミアを栽培してきたグレン&アリー・ウエベルガング夫妻は、5年もの間、数々の困難に直面してきました。しかし、彼らは技術的なノウハウと革新性、そして前向きな姿勢でその困難を乗り越えてきました。今回のコラムでは、どのようにして克服していったかのお話しと共に、人生を楽しく生きるヒントを見つけていきましょう。
ニューイングランド大学(UNE)で農業科学の学士号を取得し、環境科学を専攻したグレンとアリーの夫妻は、2019年にクラレンス川下流の氾濫原にあるサトウキビ農園を購入する前まで、広面積の混合農業に従事していました。その経験から、購入した農園をマカダミアの果樹園に転換することを決意し、その後の3年間で約7,000本のマカダミアナッツの木を植えたのです。

写真:ニュー・サウスウェールズ州、成長するマカダミアの木
しかし、この地域の自然の美しさの代償は大きいものでした。
「海岸に近いので風が強く、土壌が飽和状態になるため非常にぬかるみ、木々を支えるために何か対策が必要でした」とその代償についてグレンが語っています。そして彼らは、灌漑システムに接続された木々を支えるワイヤー・システムを開発するに至ったのです。
「木々が成長するにつれて、支持ワイヤーが持ち上がり、灌漑ラインも一緒に持ち上がります」とそのシステムについてグレンの説明は続きます。この革新的な技術は、植栽が完了した矢先に発生した自然災害の際に、非常に重要な役割を果たしました。
植え付けを終えてわずか数週間後の2022年2月、彼らの果樹園はニュー・サウスウェールズ州北部を襲った壊滅的な洪水に見舞われ、果樹園全体が5日間浸水したのです。その水は、過去に記録されたどの洪水ピークの水位よりも30cm上回っていたと、この地域に昔から住んでいる隣人たちが言うほどの大災害だったのです。

写真:2022年ヤンバのマカダミア果樹園を襲った洪水の様子
幸いなことに、新しく植えた木のほとんどは水面上に葉が少し出ており、支柱ワイヤーのおかげもあって洪水に見舞われても木々は倒れませんでした。そのため、地面がようやく乾いた時、迅速に対応ができたのです。
しかし、困難は続きました。2022年4月に発生した2度目の洪水と、そこへ襲来した小型サイクロンによって、彼らの革新的な技術の耐久性が試されるという試練が重なりました。
「支柱ワイヤーのおかげで木が吹き飛ばされず、倒れるのを防いでくれました。また、灌漑用水路が高架になっていたため、洪水による被害を受けず、メンテナンスの必要もありませんでした」と2人は言います。

写真:2022年、ウェべルガング・マカダミア農園
困難な24ヶ月を過ごしたにもかかわらず、グレンとアリーは非常に前向きな姿勢を崩していません。
「この業界に参入した時、困難や不況が起こらないとは思っていなかった」と2人は語っています。「私たちは依然としてマカダミアナッツに長期的な未来を見出しています。家族でマカダミアナッツを栽培するというライフスタイルと機会を愛しており、これまでの道のりを本当に楽しんでいます」
まとめ
いかがでしたか?何か新しい事を始める時、誰しも大きな期待を抱いて、前に進もうと歩み出します。確かに困難に遭うことを想像はしますが、それが歩み始めることの障害にはならないのは、なぜなのでしょう?
きっと人はいつでも前を向き、幸せは困難を克服した時に訪れると信じているから、なのかも知れません。信じることは“希望”になり、希望があるから目の前で起こっている嫌なことでも乗り越えていけるものです。災害ではなくても、日々起こる小さな出来事に前向きに向き合っていれば、幸せの種はいつでも見つけられるのです。
しかしながら、ウエバーガング夫妻と家族たちが幸せでいる大きな要因は、みんなをシアワセにする奇跡のナッツ、マカダミアの栽培に携わり、オーストラリアの美しい自然と豊かな大地を守るために生きているから。この美しさの中で、マカダミア栽培に携わる、まさにこのことこそが幸せそのもの、のように思いませんか。
私たちがマカダミアを食べるとシアワセな気分になるのは、恐らくナッツの中にオーストラリアの素晴らしさ、オーストラリアでマカダミア栽培に関わる人々の愛が詰まっているからでしょう。
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